オフコン移行を考えるとき、新システムの構築には注目が集まるのに、『物理的にオフコンをどう撤去するか』 は後回しにされがちです。しかし、撤去には情報漏洩リスク・産業廃棄物の適正処理・原状回復など、管理部門が押さえるべき実務論点が多数。本記事では、業務移行と物理撤去の 2 段階で整理し、撤去 5 ステップ、よくある落とし穴、撤去前チェックリストを解説します。

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結論:撤去は『業務移行完了の 3~6 ヶ月後』が標準

オフコン撤去のタイミングは、新システム稼働と同時ではなく 『業務移行完了の 3~6 ヶ月後』 が標準です。並行稼働期間と、稼働後の問題発生時の切り戻し可能性を確保するためです。

タイミング状態備考
新システム稼働日業務移行運用は新システムに切替、旧システムは停止せず維持
稼働後 1~3 ヶ月並行運用期間新システムで問題発生時の切り戻しに備える
稼働後 3~6 ヶ月旧システム停止新システムの安定稼働確認後、旧システムをシャットダウン
稼働後 6~9 ヶ月物理撤去開始データ消去→業者選定→搬出→廃棄手続き

焦って早期撤去すると、問題発生時に旧システムへの切り戻しができず、業務停止リスクが高まります。逆に長期間放置すると、リース料・電気代・空調費・スペース占有といった保有コストが続きます。

オフコン撤去は『2 段階』で考える

『撤去』という言葉は、現場では 2 つの意味で使われます。混同せず整理することが重要です。

段階意味主体
フェーズ 1:業務移行(撤去)業務をオフコンから新システムへ移行・運用停止業務部門・情シス・ベンダー
フェーズ 2:物理撤去(廃棄)機器の物理的な搬出・データ消去・産廃処理管理部門・撤去業者

本記事はフェーズ 2 の 物理撤去にフォーカス します。

物理撤去の進め方(5 ステップ)

ステップ 1:撤去計画の策定

新システムの稼働判定後、『いつ撤去するか』『誰が責任者か』『どの業者に依頼するか』 を含めた撤去計画を策定します。撤去時期は稼働後 3~6 ヶ月後が標準。撤去予算(数十万~数百万円)も社内承認を取っておきます。

ステップ 2:データ消去(情報漏洩対策)

最重要のステップ。オフコンの内蔵ディスクには、顧客データ、受発注データ、人事データなど機微情報 が大量に蓄積されています。物理的に廃棄しても、ディスクがそのまま流出すると情報漏洩リスクが残ります。

  • 論理消去:データを上書きで消去(NIST SP 800-88 等の基準準拠)
  • 物理破壊:ディスクを物理的に破壊(穴あけ・粉砕)
  • 消去証明書の取得:撤去業者から正式な消去証明書を発行してもらう

特に金融・医療・個人情報を扱う業種では、データ消去の証跡を残すことが 監査・コンプライアンス対応 として必須です。

ステップ 3:撤去業者の選定

撤去業者は、次の 4 つの観点で選定します。

  • 産業廃棄物処理業の許可:都道府県の許可を持っているか
  • データ消去サービス:消去レベル(論理 / 物理)と証明書発行
  • オフコン特有の搬出対応:大型機器の搬出経験
  • マニフェスト管理:産業廃棄物管理票(マニフェスト)の発行・管理

ベンダー経由で紹介を受けるケースが多いですが、複数社から相見積もりを取ることを推奨します。撤去費用は機器規模により 数十万~数百万円 の幅があります。

ステップ 4:搬出・撤去作業

撤去当日の作業内容:

  • 機器の電源切断・ケーブル取り外し
  • サーバラック・周辺機器(プリンタ・端末等)の解体
  • 搬出経路の確保(エレベーターサイズ・搬出口の幅員確認)
  • 設置場所の原状回復(配線撤去・床面清掃)

オフコンは大型機器で重量もあるため、専門業者による安全な搬出 が必須。搬出時の床面・壁面の損傷リスクにも注意してください。

ステップ 5:産廃マニフェストの管理

産業廃棄物として処分する場合、『マニフェスト(産業廃棄物管理票)』 の発行・管理が義務付けられています。処理業者から返却される A・B・C・D・E 票を 5 年間保管する必要があります。

法令違反(マニフェスト不発行・虚偽記載)には罰則が科される可能性もあるため、管理部門が厳格に管理してください。

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撤去の費用と期間

費用の目安

費目費用レンジ備考
機器本体の搬出・廃棄30~100 万円機器規模・搬出条件で変動
データ消去(論理)10~30 万円ディスク数で変動
データ消去(物理破壊)20~50 万円証明書発行込み
周辺機器(プリンタ・端末等)撤去10~50 万円台数次第
原状回復(配線撤去・床面修繕)10~30 万円サーバ室の状態次第
マニフェスト管理業者料金に含む

合計で 50~250 万円規模 が中堅企業の標準。複数台のオフコン・大規模周辺機器がある場合は更に上振れします。

期間

撤去計画策定~搬出完了まで 2~4 週間。事前準備(業者選定・データ消去計画)に 1~2 週間、当日作業 1~2 日、原状回復・マニフェスト整備に 1~2 週間が標準です。

オフコン撤去の『よくある落とし穴』

落とし穴 1:データ残存リスクの軽視

「ベンダーが撤去するから大丈夫」と任せきりにし、データ消去の証跡を残さなかった結果、後日のコンプライアンス監査で指摘されるケース。消去証明書は必ず取得 し、社内で 5 年以上保管してください。

落とし穴 2:メーカー独自の撤去手続きを見落とす

IBM i などはメーカーへの返却プログラムがあり、独自の撤去手続きが必要なケースも。リース契約の場合はリース会社への返却手続き も別途必要です。事前にメーカー・リース会社への確認が必須。

落とし穴 3:周辺機器の処理を忘れる

オフコン本体は撤去したが、専用帳票プリンタ・MICR リーダー・専用端末・サーバラック・UPS(無停電電源装置)などが残ったまま、というケース。周辺機器のリストを事前に作成 し、すべて撤去対象に含めること。

落とし穴 4:設置場所の原状回復を見積もりに含めない

撤去後、配線が床下に残る、専用空調の撤去が必要、床面に機器設置跡が残るなど、原状回復に追加費用が発生 するケース。賃借物件の場合は契約上の原状回復義務もあるため、撤去業者と事前に範囲を確認してください。

撤去前のチェックリスト

  • ☐ 新システムの安定稼働を確認した(稼働後 3 ヶ月以上)
  • ☐ 旧システムからの完全切り戻しが不要と判断した
  • ☐ オフコン内蔵ディスクのバックアップを取得した(法定保存期間データ等)
  • ☐ メーカー・リース会社への返却手続きを確認した
  • ☐ 撤去業者を産廃許可・データ消去対応・搬出経験で選定した
  • ☐ データ消去の方法(論理 / 物理)と消去証明書発行を契約に明記した
  • ☐ 周辺機器(プリンタ・端末・サーバラック・UPS)のリストを作成した
  • ☐ 設置場所の原状回復範囲を業者と合意した
  • ☐ 産廃マニフェストの管理担当者を社内で決めた
  • ☐ 撤去後 5 年間の証跡保管ルールを定めた

10 項目すべてにチェックが入る状態で、安心して撤去作業に進めます。

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まとめ|撤去は『業務移行の最終仕上げ』

オフコン撤去は、業務移行プロジェクトの最後の仕上げ工程です。撤去計画を移行計画と一体で設計し、データ消去・産廃処理・原状回復を抜かりなく実施することで、移行プロジェクトを完全に完了させることができます。

株式会社クオンツでは、『移行と撤去の一体スケジュール設計』『撤去業者選定の判断軸』『データ消去・コンプライアンス対応』 のご相談を、無料で受け付けています。汎用機・オフコンからオープン系・クラウド基盤への移行プロジェクトに 25 年携わってきた経験から、貴社の業種・規模・機種に合わせた現実的な撤去段取りを一緒に整理します。机上のコンサルではなく、お客様の現場と並走するスタイルで、次の一歩の選択肢を整理します。

よくあるご質問

オフコン撤去のタイミングはいつが良いですか?
新システム稼働の同時撤去ではなく、稼働後 3~6 ヶ月の安定運用を確認してから撤去するのが標準です。並行運用期間と切り戻し可能性を確保するためで、新システムで重大な問題が発生した場合の保険になります。逆に長期間放置すると、リース料・電気代・空調費・スペース占有といった保有コストが続くため、安定稼働確認後は速やかに撤去計画を進めるべきです。
撤去費用はいくらかかりますか?
中堅企業の標準で 50~250 万円規模です。内訳は、機器本体の搬出・廃棄 30~100 万円、データ消去(論理 10~30 万円/物理 20~50 万円)、周辺機器撤去 10~50 万円、原状回復 10~30 万円。複数台のオフコン・大規模周辺機器がある場合は更に上振れします。複数業者から相見積もりを取り、データ消去の方法と証明書発行を契約に明記してください。
データ消去は必須ですか?
必須です。オフコンの内蔵ディスクには顧客データ・受発注データ・人事データなど機微情報が大量に蓄積されており、消去せずに廃棄するとディスクが流出した場合に情報漏洩リスクが残ります。論理消去(NIST 等の基準準拠)または物理破壊で確実に消去し、消去証明書を取得・5 年以上保管してください。金融・医療・個人情報を扱う業種では特に厳格な対応が求められます。
撤去業者はどう選びますか?
4 つの観点で選定します。①産業廃棄物処理業の許可(都道府県)、②データ消去サービスのレベル(論理 / 物理)と証明書発行、③オフコン特有の大型機器搬出経験、④産廃マニフェスト管理。ベンダー経由の紹介が一般的ですが、複数社からの相見積もりが推奨。最安値より、データ消去の信頼性と搬出経験を重視してください。
メーカーの回収プログラムはありますか?
メーカーにより異なります。IBM i などは IBM の返却プログラムが用意されているケースがあり、独自の撤去手続きが必要。富士通・NEC・日立も製品によって回収サービスを提供している場合があります。事前にメーカーに確認し、保守契約書や購入時の契約条件もチェック。リース契約の場合はリース会社への返却手続きが別途必要です。
周辺機器も同時に撤去すべきですか?
同時撤去が効率的です。オフコン専用の帳票プリンタ、MICR リーダー、専用端末、サーバラック、UPS(無停電電源装置)などは、本体と一緒に撤去するのがコスト面でも作業効率面でも有利。事前に周辺機器の完全なリストを作成し、撤去業者の見積もりに含めてください。後から個別撤去すると追加費用が発生します。
業務移行と撤去はセットで進めるべきですか?
『撤去計画』としてはセットで設計すべきですが、『実施時期』はずらすべきです。業務移行(新システム稼働)から物理撤去まで 3~6 ヶ月の間隔を取ることで、安定運用確認と切り戻し可能性を確保。ただし撤去計画自体は移行計画と一体で策定し、予算・業者選定・データ消去方針を移行プロジェクトの早期から検討しておくのが重要です。

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