「IT担当は彼一人。保守・トラブル対応・社内ヘルプデスク・システム発注・セキュリティ管理まで全部やっている」——これが「一人情シス」です。中堅企業(年商30~300億円)の多くで、IT部門の実態は「一人情シス」か「兼務情シス」です。一人情シスは「頑張っている個人の問題」ではなく、「組織構造の問題」です。本記事では、一人情シスが抱える5大課題、担当者退職後に何が起きるか、具体的な打開策5つを整理します。

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一人情シスとは何ですか?|定義と実態

一人情シスとは、ITに関するすべての業務を1名(または実質1名)で担っている情報システム部門の状態です。担当者が処理する業務は多岐にわたります。

  • 社内ネットワーク・サーバーの管理・保守
  • PCのセットアップ・トラブル対応(社内ヘルプデスク)
  • 業務システムの保守・改修の発注・調整
  • セキュリティ対策・インシデント対応
  • ベンダー管理・契約管理
  • 新システム導入の検討・プロジェクト管理

「一人でこれだけやっているのか」と驚かれることが多いですが、多くの中堅企業では「IT担当が一人で当たり前」という状態が常態化しています

一人情シスの課題とは?|5大課題

課題 1:慢性的なキャパオーバー

保守・対応・管理をこなすだけで業務時間が埋まり、「新しいことを考える・調査する・計画する」という本来の情シス業務ができない状態になります。「基幹システムの刷新を検討したいが、日々の対応に追われて何も進まない」という声は一人情シスを持つ企業経営者から毎週のように届きます。

課題 2:究極の属人化

社内ITに関する知識・ベンダー情報・契約内容・システム設計が、その1人の頭の中と個人PCだけに蓄積されています。社内で「ITのことは○○さんに聞けばいい」という文化になっており、後継者育成・ナレッジ共有の仕組みがありません。

課題 3:休めない・有休が取れない

「自分がいないと何かあったときに対応できない」という責任感から、有休が取れない・長期休暇が取れない状態になります。担当者の心理的負担が高まり、離職リスクが増大します。

課題 4:退職リスクが事業継続リスクに直結

一人情シスの担当者が退職すると、後継者がいないため即座に「誰もITを管理できない」状態になります。ベンダーとの交渉・障害対応・新規システムの発注—すべてが止まる可能性があります

課題 5:基幹システム刷新・新しい取り組みが進まない

日々の運用・保守で手一杯の一人情シスには、「基幹システムの刷新計画を立てる」「クラウド移行を検討する」「セキュリティ強化のための調査をする」というプロジェクト型業務を推進する余裕がありません。会社のIT競争力が低下し続けます。

一人情シスが退職するとどうなる?

一人情シスの担当者退職後に発生する主な問題を整理します。

発生する問題 具体的な事象 経営コスト目安
ITシステムの管理空白 サーバー・ネットワークを管理できる人間がいない。障害が起きても対応不可 業務停止の機会損失:日単位で発生
ベンダーとの窓口消滅 どのベンダーとどんな契約をしているか誰も分からない 契約確認・再交渉コスト:数十万~数百万円
社内ヘルプデスクの停止 PCトラブル・ソフトウェア問題への対応者がいない 全社の生産性低下
セキュリティリスクの放置 パッチ適用・セキュリティ設定変更ができない インシデント発生時:数千万円以上
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一人情シスの担当者が辞めた場合どうすればいいですか?|打開策5つ

打開策① IT業務のドキュメント化・ナレッジ共有(今すぐ着手・費用ゼロ~50万円)

担当者が在籍しているうちに、「どんなシステムがあり・誰と契約しており・何を管理しているか」を文書化します。「IT管理台帳」として最低限の情報を整備することが、退職リスクへの最初の備えです。内容:システム一覧・ベンダー連絡先・契約内容・アカウント管理・緊急時の対応手順。

打開策② 保守業務の外部委託(月額10万~50万円)

日常的な保守・管理業務(サーバー監視・パッチ適用・ヘルプデスク対応)を外部のIT管理サービス(マネージドサービス)に委託します。担当者が「プロジェクト型業務(システム刷新・セキュリティ強化)」に集中できる環境を作るのが目的です。

打開策③ セカンドソース(外部IT顧問・副業IT人材)の確保

IT顧問として外部の専門家と顧問契約を結ぶか、副業・フリーランスのIT人材を確保します。「困ったときに相談できる・対応を依頼できる外部人材」がいるだけで、一人情シスの心理的負担と退職リスクが大幅に下がります。費用目安:月額5万~30万円(顧問契約)。

打開策④ 基幹システムのクラウド化・SaaS化

オンプレミスで動いているサーバー・システムをクラウドサービス・SaaSに移行することで、一人情シスが管理すべきインフラの量を大幅に削減できます。クラウドサービスはベンダーがインフラ管理を担うため、一人情シスはアプリケーション管理に集中できます。

打開策⑤ 後継者の育成・採用計画(中長期)

一人情シスに依存している構造を変えるには、後継者の育成または採用が根本的な解決策です。ただし即戦力のIT人材採用は難しいため、「今の担当者がいる間に、バックアップ担当者を少しずつ育てる」計画を立てることが現実解です。

一人情シスの課題解消でよくある失敗パターン

失敗:「経営者が一人情シスの実態を知らない」まま放置

「ITのことは○○さんに任せているから大丈夫」という認識のまま、一人情シスの課題が経営課題として上がってこないケースです。一人情シスの問題は「ITの問題」ではなく「経営継続の問題」です。経営者が「一人情シスが抱えている業務量・リスク・課題」を正確に把握することが、打開策の第一歩です。

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まとめ|一人情シスは「個人の頑張り」に頼る限り解決しない

  • 一人情シスとは:ITに関するすべての業務を1名で担っている状態。中堅企業で広く見られる構造問題
  • 5大課題:キャパオーバー・究極の属人化・休めない・退職リスク=事業継続リスク・新取り組み不可
  • 打開策5つ:ドキュメント化→外部委託→セカンドソース確保→クラウド化→後継者育成
  • 経営者の役割:一人情シスの実態を正確に把握し、IT管理を「仕組み」で解決する経営判断を下すこと

業務の属人化の全体像については、業務の属人化とは何かを解説した記事をご参照ください。システム担当者の退職リスクへの備えについては、ベテラン担当者の退職リスクガイドも合わせてご覧ください。


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よくあるご質問

一人情シスとは何ですか?
ITに関するすべての業務(サーバー管理・ヘルプデスク・システム保守・ベンダー管理・セキュリティ対策等)を1名または実質1名で担っている情報システム部門の状態です。中堅企業(年商30~300億円)の多くで、IT部門の実態は一人情シスか兼務情シスという状況が広く見られます。
一人情シスの課題とは?
5つの主要課題があります。①慢性的なキャパオーバー(保守・対応で手一杯でプロジェクト型業務ができない)②究極の属人化(IT知識・ベンダー情報が1人に集中)③休めない・有休が取れない ④退職リスクが事業継続リスクに直結 ⑤基幹システム刷新などの新取り組みが進まないです。
一人情シスが退職するとどうなる?
4つの深刻な問題が発生します。①ITシステムの管理空白(障害対応者がいない)②ベンダーとの窓口消滅(契約内容が分からない)③社内ヘルプデスクの停止 ④セキュリティリスクの放置です。特に最悪なのはインシデント発生時で、対応者がいない状態での情報漏えいは数千万円以上のコストになるケースがあります。
一人情シスの担当者が辞めた場合どうすればいいですか?
緊急対応として①IT管理台帳(システム一覧・ベンダー連絡先・契約内容・アカウント情報)が存在するか確認する ②保守業務を引き継げる外部IT管理サービスに緊急連絡する ③社内の兼務担当者を暫定的に指名するという3ステップが現実的な初動です。その後、外部委託・後継者育成・システム刷新を段階的に進めます。
一人情シスの業務負荷を減らすにはどうすればいいですか?
3つのアプローチが有効です。①日常的な保守・管理業務をマネージドサービスへ委託する(月額10万~50万円)②基幹システムをクラウド化してインフラ管理負荷を削減する ③IT顧問・副業IT人材をセカンドソースとして確保し相談・対応を分担することで、一人情シスが「プロジェクト型業務に集中できる環境」を作れます。
一人情シスの状態は会社にとってどのくらいのリスクがありますか?
非常に高いリスクがあります。その1名が退職・長期病欠すると会社のIT管理全体が止まるという状況は、事業継続の観点から「単一障害点(SPOF)」と言えます。年商50億円規模の企業でも、一人情シスの退職がきっかけで基幹システムの障害対応ができなくなり、数百万~数千万円の損失が発生したケースがあります。
一人情シスを2名体制にするのと外部委託するのはどちらが良いですか?
両方に一長一短があります。2名体制は内製知識が蓄積されますが採用が難しく即効性がない。外部委託は即効性が高くコストも予測しやすいが、社内にIT知識が蓄積されにくいというトレードオフがあります。現実的な選択は「外部委託で現在の負荷を下げながら、後継者を育成していく」という組み合わせアプローチです。

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