「今のシステムで特に困っていないが、刷新した方がいいのか」「既存システムのリスクは何となく分かるが、経営的な問題にどう繋がるのか整理できていない」——こうした疑問を持つ経営者に向けて、本記事では 既存システムを使い続ける経営リスクを、主に 5 つに整理 します。実際のリスク度合いは、システムの重要度、外部接続状況、保守体制、ドキュメント整備状況によって変わります。

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レガシーシステムの経営リスクは?|本記事による 5 大リスクの整理

本記事では、既存システムを使い続ける経営リスクを、主に 5 つに整理します。

リスク 症状 経営への影響 注意度
① セキュリティリスク サポート切れ・パッチ未適用のシステムが稼働中 サイバー攻撃・情報漏えいのリスクが高まりやすい。顧客情報・取引情報の流出 🔴 高
② 属人化・担当者依存リスク 特定の担当者しかシステムを理解していない 担当者退職により、障害対応・改修・移行計画が大きく遅れるリスク 🔴 高
③ 競争力低下リスク 取引先要件・新ビジネスへの対応が遅れる EDI・API 連携要件に対応できず、取引条件で不利になったり、取引機会が縮小したりする可能性 🟡 中~高
④ 保守・改修コスト増大リスク 改修のたびに調査工数が増える。対応できる人材・ベンダーの確保が難しい IT 費用が収益を圧迫しやすい。「修理できないシステム」になるリスク 🟡 中~高
⑤ 人材採用不利リスク 古い技術環境しかない会社と見られると、応募意欲に影響する可能性 IT 人材の採用・定着が難しくなると、将来の業務改善・デジタル化への対応能力が低下する可能性 🟡 中

5 大リスクの詳細

リスク① セキュリティリスク|「動いているが、脆弱性が残りやすい」状態

サポートが終了した OS やミドルウェアの上でシステムが動いている場合、セキュリティパッチが提供されず、既知の脆弱性が残る可能性 があります。既知の脆弱性が残ったシステムは、攻撃者に狙われやすい対象になります。

情報漏えい発生時には、フォレンジック調査、顧客通知、問い合わせ対応、弁護士費用、再発防止策、場合によっては損害賠償や見舞金などが発生します。総額は漏えい件数・情報の種類・対応範囲によって大きく変動します。大規模な情報漏えいでは、対応費用が数千万円から億単位に膨らむケースもあります

  • 取引先・顧客への損害賠償リスク
  • レピュテーション(信用)の損傷

リスク② 属人化・担当者依存リスク|特定担当者に依存し、保守・改修が止まりやすい状態

特定の担当者がシステムの動作を熟知しており、その人物が退職・長期病欠すると、障害対応や改修に大きな遅れが出る可能性 があります。誰も触れない状態に近づくほど、改修や障害対応の難易度・費用・期間が大きく上がります。当社が相談を受ける中でも、中小・中堅企業では担当者が 1 名に限られるケースがあります。

  • 担当者退職後に現行解析・緊急対応が必要になる場合、数百万円~数千万円規模の追加費用や機会損失が発生するケースがあります。実際の金額は、資料の有無、システム規模、障害発生有無によって変動します
  • 引き継ぎが不十分な場合、現行調査・要件確認・移行リハーサルに追加工数が発生し、移行プロジェクト費用が大きく上振れすることがあります

リスク③ 競争力低下リスク|「古いシステムが足かせになる」

現代のビジネス環境では、取引先から EDI 連携・API 接続・Web システム連携・トレーサビリティ対応を求められる機会が増えています。古いシステムでこれらに対応しにくい場合:

  • 新規取引先の失注:「このシステムでは対応できません」という機会損失
  • 既存取引への影響:対応できない場合、取引条件で不利になったり、将来的な取引機会が縮小したりする可能性
  • 当社想定のモデルでは、年商 50 億円規模の企業で、対応できなかった取引先要件や新規案件の逸失により、年間 1,000 万~3,000 万円規模の機会損失が生じる場合があります。実際の金額は、粗利率、商談規模、取引先要件の重要度によって変動します

リスク④ 保守・改修コスト増大リスク|「修理するだけで年間数千万円規模になることも」

COBOL・メインフレーム・サポート期限が近い、または終了した Windows Server などに対応できる技術者の確保が難しくなると、保守費や調査費が上振れしやすくなります。また、法改正(インボイス制度・電子帳簿保存法・消費税改定など)のたびに追加改修費が発生する場合があります。

  • 当社が相談を受ける中でも、保守範囲や対応ベンダーの変更により、過去数年で保守費が 1.5 倍以上に上振れしたケースがあります
  • 主要基幹システムに影響する法改正対応では、調査・改修・テスト範囲が広がり、数百万円~数千万円規模 になるケースがあります。軽微な帳票修正などでは、より小さく収まる場合もあります
  • 年間改修費が、目安として初期構築費の 15% 前後 に達している場合は、刷新を検討するタイミングの一つです

リスク⑤ 人材採用不利リスク|若手 IT 人材に選ばれにくくなる

モダンな開発環境や成長機会を重視する人材から、古い技術環境しかない会社と見られると、応募意欲に影響する可能性 があります。IT 人材の採用・定着が難しくなると、将来の業務改善・デジタル化への対応能力が低下する可能性があります。5 大リスクの中でも、見えにくい一方で長期的な影響が大きくなりやすいリスク です。

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既存システムを使い続けるリスクとは?|放置コスト試算

以下は、経済産業省の 12 兆円試算を単純按分したものではなく、当社が中堅企業の相談で見ることが多い費用項目をもとにしたモデル試算 です。実際の損失額は、業種、粗利率、取引先要件、保守契約、システム規模によって大きく変動します。セキュリティインシデントについては、発生時損害と期待損失を分けて考える必要があります。

リスク 年間損失目安(年商 50 億円規模・当社想定モデル)
セキュリティインシデント(発生時損害) 発生時に数千万円~億単位になるケースがあります。期待損失として見るには発生確率を別途設定する必要があります
保守・改修費の上振れ分 年間 500 万~1,500 万円
ビジネス機会損失 年間 1,000 万~3,000 万円
法改正対応の追加費用 年間 300 万~800 万円
5 年間の累積損失(セキュリティ除く・単純 5 年累計) 9,000 万~2.65 億円

5 年間の累積損失は、保守・改修費の高騰分、機会損失、法改正対応費を単純に 5 年分積み上げたモデルです。実際には発生時期や改修頻度によって上下します。

今すぐ確認|既存システムの経営リスク チェックリスト

以下は、リスク把握のための簡易チェックリスト です。各数値はあくまで目安であり、実際の優先度はシステムの重要度・業務影響・外部接続状況によって変わります。

#チェック項目該当リスク
1OS やミドルウェアのサポートが終了している、またはサポート期限が 3 年以内に来るセキュリティ
2システムの保守担当者が社内・外注合わせて 1 名のみ属人化
3システムの設計書・仕様書が最終更新から 10 年以上経過している属人化
4取引先から EDI 連携・API 接続を求められているが、対応できていない案件がある競争力低下
5年間の IT 保守・改修費が 3 年前より 20% 以上増加しているコスト増大
6法改正対応のたびに数百万円以上の改修費が発生するコスト増大
7IT エンジニアの採用に苦労しており、「古いシステムが原因」と感じることがある採用不利
8新しいビジネスアイデアが「システム的に難しい」という理由で実現できないことがある競争力低下

目安として 3 つ以上に当てはまる場合は、基幹システムの棚卸しとリスク評価を始めることをお勧めします。5 つ以上に当てはまる場合、またはセキュリティ・属人化に該当する場合は、優先的に対応を検討してください。

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まとめ|「動いているシステム」が「安全なシステム」とは限らない

  • 本記事による 5 大リスクの整理:セキュリティ・属人化・競争力低下・コスト増大・採用不利
  • 年商 50 億円規模の当社想定モデルでは、5 年間の放置コストは 9,000 万~2.65 億円程度になる可能性があります(セキュリティインシデント発生時の損害は除く)
  • チェックリストの 目安として 3 つ以上に当てはまる場合はリスク評価を開始する目安、5 つ以上またはセキュリティ・属人化に該当する場合は優先対応を検討
  • 最初のアクション:自社システムの棚卸し → リスク評価 → 移行計画の大枠を経営判断として整理

株式会社クオンツでは、『既存システムのリスク整理』『5 大リスクの優先度評価』『基幹システム刷新計画の立案支援』 のご相談を、無料で受け付けています。汎用機・オフコンからオープン系・クラウド基盤への移行プロジェクトに 25 年携わってきた経験から、貴社の規模・業種・システム状況に合わせた現実解を一緒に整理します。机上のコンサルではなく、お客様の現場と並走するスタイルで、次の一歩の選択肢を整理します。

よくあるご質問

レガシーシステムの経営リスクは?
主に 5 つのリスクがあります。① セキュリティリスク(サポート切れによる脆弱性) ② 属人化・担当者依存リスク(担当者退職により障害対応・改修が遅れる) ③ 競争力低下リスク(取引先要件に対応しにくい) ④ 保守・改修コスト増大リスク(調査・改修費が上振れしやすい) ⑤ 人材採用不利リスク(若手 IT 人材に選ばれにくくなる) です。これらは複合して経営全体に影響する可能性があります。
既存システムを使い続けるリスクとは?
「動いているから大丈夫」と考えてリスク把握を先送りすることは、特に注意すべきリスク です。担当者退職、セキュリティインシデント、ビジネス機会損失、法改正対応コストの増加が静かに積み上がる場合があります。当社想定のモデルでは、年商 50 億円規模で年間 1,800 万~5,300 万円程度の損失が生じるケースがあります。これは保守費高騰、機会損失、法改正対応費を合算したもので、セキュリティインシデント発生時の損害は含んでいません。
レガシーシステムのセキュリティリスクはどの程度深刻ですか?
重要度の高いリスク です。サポートが終了した OS やミドルウェア上で動くシステムは、セキュリティパッチが提供されず、既知の脆弱性が残る可能性があります。既知の脆弱性が残ったシステムは、攻撃対象になりやすくなります。大規模な情報漏えいが発生した場合、顧客対応・調査・再発防止策・信用低下などにより、数千万円以上の損失が生じるケースがあります。
既存システムの属人化リスクはどう対処すればいいですか?
最優先の対策は、担当者が在籍しているうちに業務ロジックのドキュメント化を進めることです。主要業務・主要サブシステムを対象にした簡易的な業務ロジック整理であれば、費用 50 万~300 万円、期間 1~3 ヶ月程度が目安 です。対象範囲が広い場合はさらに費用・期間が増えます。ドキュメント化により、担当者交代・システム移行時の手戻りや現行調査コストを抑えやすくなります。
既存システムが原因で取引先からの要件に対応できない場合どうすればいいですか?
対応できない要件が 取引継続の条件になっている場合は、優先度の高い課題 です。既存システムへのモジュール追加で対応できるか、システム全体の刷新が必要かを検討します。費用は、対象範囲や連携方式、データ移行、テスト範囲によって大きく変動します。要件の対応期限と移行プロジェクトのスケジュールを照らし合わせ、早期に対応方針を整理することをお勧めします
既存システムの保守コストが増加しているのはなぜですか?
主に 2 つの理由があります。① COBOL・メインフレーム等に対応できる技術者の確保が難しくなり、案件によっては単価や調査費が上振れしやすいこと ② 長年の改修でシステムが複雑化し、小さな改修でも影響範囲の調査に工数がかかるようになっていること です。保守費を固定費として放置せず、増減要因を定期的に確認すべき費用として捉えることが重要 です。
既存システムのリスクを経営者に理解してもらうにはどうすればいいですか?
3 つのアプローチが有効です。① IT 費用の過去 5 年間の推移グラフで増加傾向を可視化する ② 担当者が退職した場合に業務へどのような影響が出るかを具体的なシナリオで示す ③ 機会損失の試算(対応できなかった取引先要件の件数 × 想定損失額)を数値で提示する、という方法です。経営者が経営課題として認識するきっかけになります。

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