「今のシステムで特に困っていないが、刷新した方がいいのか」「既存システムのリスクは何となく分かるが、経営的な問題にどう繋がるのか整理できていない」——こうした疑問を持つ経営者に向けて、本記事では 既存システムを使い続ける経営リスクを、主に 5 つに整理 します。実際のリスク度合いは、システムの重要度、外部接続状況、保守体制、ドキュメント整備状況によって変わります。
『自社の既存システムがどんな経営リスクを抱えているか確認したい』とお悩みですか? 25 年の経験でリスク整理を一緒に進めます。 無料相談 >レガシーシステムの経営リスクは?|本記事による 5 大リスクの整理
本記事では、既存システムを使い続ける経営リスクを、主に 5 つに整理します。
| リスク | 症状 | 経営への影響 | 注意度 |
|---|---|---|---|
| ① セキュリティリスク | サポート切れ・パッチ未適用のシステムが稼働中 | サイバー攻撃・情報漏えいのリスクが高まりやすい。顧客情報・取引情報の流出 | 🔴 高 |
| ② 属人化・担当者依存リスク | 特定の担当者しかシステムを理解していない | 担当者退職により、障害対応・改修・移行計画が大きく遅れるリスク | 🔴 高 |
| ③ 競争力低下リスク | 取引先要件・新ビジネスへの対応が遅れる | EDI・API 連携要件に対応できず、取引条件で不利になったり、取引機会が縮小したりする可能性 | 🟡 中~高 |
| ④ 保守・改修コスト増大リスク | 改修のたびに調査工数が増える。対応できる人材・ベンダーの確保が難しい | IT 費用が収益を圧迫しやすい。「修理できないシステム」になるリスク | 🟡 中~高 |
| ⑤ 人材採用不利リスク | 古い技術環境しかない会社と見られると、応募意欲に影響する可能性 | IT 人材の採用・定着が難しくなると、将来の業務改善・デジタル化への対応能力が低下する可能性 | 🟡 中 |
5 大リスクの詳細
リスク① セキュリティリスク|「動いているが、脆弱性が残りやすい」状態
サポートが終了した OS やミドルウェアの上でシステムが動いている場合、セキュリティパッチが提供されず、既知の脆弱性が残る可能性 があります。既知の脆弱性が残ったシステムは、攻撃者に狙われやすい対象になります。
情報漏えい発生時には、フォレンジック調査、顧客通知、問い合わせ対応、弁護士費用、再発防止策、場合によっては損害賠償や見舞金などが発生します。総額は漏えい件数・情報の種類・対応範囲によって大きく変動します。大規模な情報漏えいでは、対応費用が数千万円から億単位に膨らむケースもあります。
- 取引先・顧客への損害賠償リスク
- レピュテーション(信用)の損傷
リスク② 属人化・担当者依存リスク|特定担当者に依存し、保守・改修が止まりやすい状態
特定の担当者がシステムの動作を熟知しており、その人物が退職・長期病欠すると、障害対応や改修に大きな遅れが出る可能性 があります。誰も触れない状態に近づくほど、改修や障害対応の難易度・費用・期間が大きく上がります。当社が相談を受ける中でも、中小・中堅企業では担当者が 1 名に限られるケースがあります。
- 担当者退職後に現行解析・緊急対応が必要になる場合、数百万円~数千万円規模の追加費用や機会損失が発生するケースがあります。実際の金額は、資料の有無、システム規模、障害発生有無によって変動します
- 引き継ぎが不十分な場合、現行調査・要件確認・移行リハーサルに追加工数が発生し、移行プロジェクト費用が大きく上振れすることがあります
リスク③ 競争力低下リスク|「古いシステムが足かせになる」
現代のビジネス環境では、取引先から EDI 連携・API 接続・Web システム連携・トレーサビリティ対応を求められる機会が増えています。古いシステムでこれらに対応しにくい場合:
- 新規取引先の失注:「このシステムでは対応できません」という機会損失
- 既存取引への影響:対応できない場合、取引条件で不利になったり、将来的な取引機会が縮小したりする可能性
- 当社想定のモデルでは、年商 50 億円規模の企業で、対応できなかった取引先要件や新規案件の逸失により、年間 1,000 万~3,000 万円規模の機会損失が生じる場合があります。実際の金額は、粗利率、商談規模、取引先要件の重要度によって変動します
リスク④ 保守・改修コスト増大リスク|「修理するだけで年間数千万円規模になることも」
COBOL・メインフレーム・サポート期限が近い、または終了した Windows Server などに対応できる技術者の確保が難しくなると、保守費や調査費が上振れしやすくなります。また、法改正(インボイス制度・電子帳簿保存法・消費税改定など)のたびに追加改修費が発生する場合があります。
- 当社が相談を受ける中でも、保守範囲や対応ベンダーの変更により、過去数年で保守費が 1.5 倍以上に上振れしたケースがあります
- 主要基幹システムに影響する法改正対応では、調査・改修・テスト範囲が広がり、数百万円~数千万円規模 になるケースがあります。軽微な帳票修正などでは、より小さく収まる場合もあります
- 年間改修費が、目安として初期構築費の 15% 前後 に達している場合は、刷新を検討するタイミングの一つです
リスク⑤ 人材採用不利リスク|若手 IT 人材に選ばれにくくなる
モダンな開発環境や成長機会を重視する人材から、古い技術環境しかない会社と見られると、応募意欲に影響する可能性 があります。IT 人材の採用・定着が難しくなると、将来の業務改善・デジタル化への対応能力が低下する可能性があります。5 大リスクの中でも、見えにくい一方で長期的な影響が大きくなりやすいリスク です。
既存システムを使い続けるリスクとは?|放置コスト試算
以下は、経済産業省の 12 兆円試算を単純按分したものではなく、当社が中堅企業の相談で見ることが多い費用項目をもとにしたモデル試算 です。実際の損失額は、業種、粗利率、取引先要件、保守契約、システム規模によって大きく変動します。セキュリティインシデントについては、発生時損害と期待損失を分けて考える必要があります。
| リスク | 年間損失目安(年商 50 億円規模・当社想定モデル) |
|---|---|
| セキュリティインシデント(発生時損害) | 発生時に数千万円~億単位になるケースがあります。期待損失として見るには発生確率を別途設定する必要があります |
| 保守・改修費の上振れ分 | 年間 500 万~1,500 万円 |
| ビジネス機会損失 | 年間 1,000 万~3,000 万円 |
| 法改正対応の追加費用 | 年間 300 万~800 万円 |
| 5 年間の累積損失(セキュリティ除く・単純 5 年累計) | 9,000 万~2.65 億円 |
5 年間の累積損失は、保守・改修費の高騰分、機会損失、法改正対応費を単純に 5 年分積み上げたモデルです。実際には発生時期や改修頻度によって上下します。
今すぐ確認|既存システムの経営リスク チェックリスト
以下は、リスク把握のための簡易チェックリスト です。各数値はあくまで目安であり、実際の優先度はシステムの重要度・業務影響・外部接続状況によって変わります。
| # | チェック項目 | 該当リスク |
|---|---|---|
| 1 | OS やミドルウェアのサポートが終了している、またはサポート期限が 3 年以内に来る | セキュリティ |
| 2 | システムの保守担当者が社内・外注合わせて 1 名のみ | 属人化 |
| 3 | システムの設計書・仕様書が最終更新から 10 年以上経過している | 属人化 |
| 4 | 取引先から EDI 連携・API 接続を求められているが、対応できていない案件がある | 競争力低下 |
| 5 | 年間の IT 保守・改修費が 3 年前より 20% 以上増加している | コスト増大 |
| 6 | 法改正対応のたびに数百万円以上の改修費が発生する | コスト増大 |
| 7 | IT エンジニアの採用に苦労しており、「古いシステムが原因」と感じることがある | 採用不利 |
| 8 | 新しいビジネスアイデアが「システム的に難しい」という理由で実現できないことがある | 競争力低下 |
目安として 3 つ以上に当てはまる場合は、基幹システムの棚卸しとリスク評価を始めることをお勧めします。5 つ以上に当てはまる場合、またはセキュリティ・属人化に該当する場合は、優先的に対応を検討してください。
まとめ|「動いているシステム」が「安全なシステム」とは限らない
- 本記事による 5 大リスクの整理:セキュリティ・属人化・競争力低下・コスト増大・採用不利
- 年商 50 億円規模の当社想定モデルでは、5 年間の放置コストは 9,000 万~2.65 億円程度になる可能性があります(セキュリティインシデント発生時の損害は除く)
- チェックリストの 目安として 3 つ以上に当てはまる場合はリスク評価を開始する目安、5 つ以上またはセキュリティ・属人化に該当する場合は優先対応を検討
- 最初のアクション:自社システムの棚卸し → リスク評価 → 移行計画の大枠を経営判断として整理
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