電子契約に印紙代は不要|コスト削減につながるメリットとは

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紙の契約書を発行する際に発生する印紙代。

一度の契約では大きな経費とはなりませんが、年間単位で考えると、意外と膨大な印紙代がかかっている可能性があります。

そこで印紙代のコスト削減に役立つと言われ、注目を集めているのが電子契約です。

日本における電子契約では、電子間で発生した契約では印紙税を払う必要がないとされています。

そのため電子契約は印紙代を始めとして、コスト削減につながるメリットがあります。

本記事では、電子契約がなぜ印紙代が不要となるのか、国税庁・印紙税法・日本政府の見解をもとに解説します。

電子契約とは

電子契約とは、書面契約を電子データに置き換え、電子署名または電子サインを行い締結する契約を指します。

2001年4月1日施行された「電子署名法」では、電子署名が手書きの署名や印鑑による押印と同等の効力を持つと定められました。

今日において電子署名は、民間企業の契約締結だけでなく、国税納付書類や電子入札など公的な手続きでも活用されています。

また2018年には36億円であった電子契約の市場規模は2023年までに200億円を超える予測(*)が出ており、今後も拡大が見込まれています。

(*)2019年度は契約業務の電子化の流れで70.0%増の急成長を予測|株式会社アイ・ティ・アール

電子契約の種類

電子契約には「事業者署名型(立会人型))」と「当事者型」の2種類があります。

事業者署名型(立会人型)

事業者署名型(立会人型)の電子契約とは、契約を締結する当事者同士ではない第三者が電子署名を行う方法です。

事業者署名型の電子契約は、送付側が電子契約書をインターネット上にアップロードします。

送付側と受け手側、双方の合意が確認できると、電子契約を提供する事業者が電子署名を付与する仕組みになっています。

事業者署名型は、契約書を送付する側・受け手側の双方が、電子署名の発行に必要な電子証明書を所有する必要がなく、低コストで利用できることから普及が進んでいます。

なお、世界的に導入数が多い「DocuSign(ドキュサイン)」は、事業者署名型に該当します。

当事者型

当事者型の電子契約は、契約の当事者同士が電子署名を付与する方法です。

当事者型の電子契約を行う際には、最低でも以下2種類の証明書が必要です。

  • 電子証明書(送付する側・受け手側、双方の本人性を担保する証明書)
  • タイムスタンプ(電子データがある特定の時刻に存在していたことを示す時刻証明書)

あらかじめ、認証局で電子証明書等を発行する手間やコストが発生しますが、事業者署名型と比較すると、なりすましや改ざんリスクを防止しやすいのが特徴です。

電子契約で削減できるコスト(費用)

電子契約を導入するメリットは、これまで紙文書を使用していたことによるコストを削減できる点です。

たとえば、紙代、印刷代、郵送費、印紙代といった経費が発生するほか、契約書を保管する費用、さらに人件費も必要です。

それぞれにかかるコストは低額でありながらも、年間を通せば馬鹿にできないコストになるので注意が必要です。

一方で、電子契約を導入することで、紙文書の契約で発生する紙代や印刷代、印紙代のコストカットが可能です。

例えば1年間に500件の契約書を発行・送付する場合、200万円を超えるコストを削減できます。(※紙代3円、印刷代100円、郵送代120円、印紙税4,000円として計算)

また、インターネット環境で取引先企業と電子契約を結び、お互いに電子上で共有できるため、郵送費も発生しません。

事務作業も少なく、従業員の手間を省けるだけでなく、人件費の削減も期待できるのが電子契約のメリットです。

印紙代とは

電子契約の導入により、特に大きなコスト削減が期待できるのが印紙税です。

印紙税とは、紙媒体を用いた契約書や領収書に対して課税される税金であり、印紙税法によって納税が義務付けられています。

対象となる書類の発行によって印紙税が発生する際には、収入印紙を貼り付けることで税金を納める義務が発生します。

もし貼付を忘れるとペナルティとして過怠金を支払う必要がありますので、注意しましょう。

印紙課税対象となる文書

印紙税の課税対象なる文書は、さまざまな種類がありますが、今回はその中でも電子契約でよく用いられる5種類の文書について説明します。契約金額によって、課税額も異なる点について確認しましょう。

請負契約に関する契約書

請負契約に関する契約書とは、受注者である請負人が受注した契約に関する完遂を保証する一方で、発注者側が契約完遂の対価として報酬の支払いを約束する契約です。

有形物の制作業務から、業務委託や派遣など無形の役務契約まで幅広い契約に該当します。

・請負契約に関する契約書の印紙税(課税対象が500万円までのケース)

課税対象額金額
1万円未満非課税
100万円以下200円
100万円を超え200万円以下400円
200万円を超え300万円以下1,000円
300万円を超え500万円以下2,000円

(出典:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁

継続的取引の基本となる契約書

継続的取引の基本となる契約書とは、特定の取引先との間における継続的な取引に関する契約書です。

特定の相手であることや、継続性があるかが請負契約との違いであり、単発性の契約は含まれません。主に、銀行取引約定書や売買取引基本契約書、業務委託契約書などが当てはまります。

・継続的取引の基本となる契約書の印紙税

契約内容の金額に関わらず、契約書1通につき4,000円

(出典:No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで|国税庁

約束手形又は為替手形

約束手形又は為替手形とは、商品・サービスの売上や、仕入れを行う際に一定金額の支払いを約束する決済方法です。

約束手形は、二者間での取引に利用されており、手形を発行した発行人が一定金額を受取人に支払うことを約束します。

一方の為替手形は、主に三者間で用いられ、手形を発行する発行人が、第三者に委託して受取人に一定金額の支払いを約束します。

・約束手形又は為替手形(課税対象が500万円までのケース)

課税対象額金額
10万円未満非課税
10万円以上100万円以下200円
100万円超200万円以下400円
200万円超300万円以下600円
300万円超500万円以下1000円

(出典:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁

その他の契約書

上記で解説した契約書以外にも、不動産売買や航空機の譲渡に関する契約書のほかに、保険証券、預金通帳、配当金領収書など金融関係の書類などの発行に印紙税が発生します。

・不動産売買や航空機の譲渡に関する契約書(課税対象が500万円までのケース)

課税対象額金額
1万円未満非課税
10万円以下200円
10万円を超え50万円以下400円
50万円を超え100万円以下1千円
100万円を超え500万円以下2千円

(出典:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁

・金融関係の書類発行に伴う印紙税

課税対象金額
保険証券200円
預金通帳、貯金通帳、信託通帳、掛金通帳、保険料通帳1年ごとに200円
(非課税文書:1.信用金庫など特定の金融機関の作成する預貯金通帳2.所得税が非課税となる普通預金通帳など3.納税準備預金通帳)
配当金領収証、配当金振込通知書記載された配当金額
3千円未満のもの非課税
3千円以上のもの200円
配当金額の記載のないもの200円

(出典:No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで|国税庁

電子契約に印紙代が不要な理由

電子契約に伴う電子文書に対し印紙代が不要である理由は、課税対象となる文書に該当しないためです。

課税対象に当てはらまない根拠として有力視されている国税庁の見解や印紙税法に加え、2005年の国会答弁における小泉純一郎首相の発言についても確認しましょう。

国税庁の見解

国税庁が発表した見解(*)によると、「請負契約に係る注文請書をPDFファイル等の電磁的記録に変換した書類を電子メールで送信する場合、課税文書を作成したことにならない」といいます。

ただし電子メールで送信した後に、注文請書の現物を相手側に交付する場合、課税文書を作成したとみなされるため、通常通り印紙税がかかります。

(*)請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について|国税庁

印紙税法

また印紙税法では、「文書作成」に関する詳しい規則が定められています。

そもそも文書であれば、全て印紙税が課税されるわけではありません。印紙税法では、課税文書において印紙税の納税義務が発生すると記載されています(*)。

また印紙税法基本通達第44条では「課税文書となるべき用紙などに課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう」と記載されています。

つまり印紙税では、紙媒体に必要項目を記載した上で契約を締結することが、課税対象に該当する行為だとみなされいるのです。

よって電子データによって契約を締結する場合、文書作成に該当しないため、印紙税を納める必要がないと言えます。

(*)第2節 文書の意義等|国税庁

小泉元首相の答弁

2005年に行われた当時の内閣総理大臣である小泉純一郎氏国会答弁からも、電子契約に印紙代が不要である根拠がうかがえます。

2005年3月に小泉元首相は、電子商取引における印紙税についての質問を行なった参議院議員の櫻井充氏に対し、電子契約における印紙税の扱いについて以下のように発言しました。

「事務処理の機会化や電子商取引が発展しているなかで、電磁的記録によって作成される電子文書は、課税されないこととなるのはご指摘どおりである」(第162回国会(常会)参議院議員櫻井充君提出印紙税に関する質問に対する答弁書|参議院)

このように日本政府の見解から鑑みても、電子契約に印紙税は不要であると判断できるでしょう。

まとめ

今回は電子契約で印紙代が不要な根拠を中心に、電子契約の概要や印紙税の種類について解説しました。

これまで使用されていた紙文書と異なり、電子契約を活用することで業務効率の向上や事務経費のコスト削減につながるメリットがあります。

企業のコスト削減を図るためにも、電子契約の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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