Community Cloudから名称が変わった「Salesforce Experience Cloud」は、社内の従業員や顧客、外部のパートナーと情報共有ができます。
本記事ではセールスフォース エクスペリエンス クラウドの導入メリットや機能、できること、ライセンス、エディションについて解説します。
Experience Cloud(エクスペリエンスクラウド)とは?
Experience Cloud(旧Community Cloud)は、社内の従業員だけでなく、顧客や外部のパートナーと情報共有できる場所です。ここで言うパートナーとは、販売代理店やリセラー、仲介業者、フランチャイズなどのビジネスパートナーを指します。
Salesforceコミュニティが提供していたCommunity Cloudは、2021年春に名称を変更し、Experience Cloudとなりました。名称の変更に伴い、機能やエディションの変更もありましたが、使用方法はほぼ変わりません。
自社の取り扱う製品やサービスについての情報を安全に限定公開でき、情報交換も可能です。特定の顧客への情報公開も可能ですが、主にフランチャイズ管理や代理店への営業支援、情報共有など、BtoBの場で使われています。Sales Cloud(営業支援システム)、Service Cloud(顧客サポートシステム)、Chatter(クラウド型社内情報共有SNS)、自社にカスタマイズされたアプリケーションや拡張機能などの情報を共有することが多いようです。
なお、Experience Cloud の旧名称はCommunity Cloudのため、Trailblazer Communityと混同されがちです。Trailblazer CommunityはSalesforceのカスタマーコミュニティーグループで、Salesforceユーザー同士が意見交換したり、機能について新たなアイデアを寄せたりする場です。ほかのユーザーとつながることもでき、コミュニティイベントに参加するのも可能。ビジネスに役立てられるSalesforceの新しい利用方法を知りたい方は、こちらもぜひチェックしてください。
Experience Cloud(エクスペリエンスクラウド)を使用する3つのメリット
Experience Cloudには、外部との情報共有・意見交換に役立つ機能が一通り揃っています。代表的なものを下記に紹介します。
- ファイル共有機能
- ソーシャルフィード機能
- 評価機能
- CSSによるカスタマイズ機能
- Googleアナリティクスとの連携機能
- モバイル対応機能
では、Experience Cloudを導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。本記事では代表的な3つのメリットを紹介します。
- Salesforce上のオブジェクト共有で効率化できる
- Experience Builderでカスタマイズができる
- Salesforceナレッジと連携して様々な公開設定ができる
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
メリット①Salesforce上のオブジェクト共有で効率化できる
Experience Cloudを使うと、顧客情報をはじめとするさまざまなオブジェクトを、社内だけでなく、顧客・パートナーへ共有できます。
たとえば、顧客にService Cloudの「ケース」を公開すると、カスタマーサポートのコストを削減できます。ケースとは、顧客からの質問やフィードバック、発生した問題などです。顧客自身がケースを登録し、顧客同士で問題解決できるような構造を整えれば、カスタマーサポート担当者の負担を減らし、サポートに関わるコストも抑えられるでしょう。
また、パートナーにSales Cloudの「リード」や「商談」のオブジェクトを共有すると、より効率的に制約に繋がる営業活動ができるようになります。情報共有が簡易になるだけでなく、営業担当者個人単位で積み上げられていたノウハウも共有されるためです。
ただし、公開するオブジェクトは十分に検討しなければなりません。サポートコストや売上に直結する可能性があるためです。
メリット②Experience Builderでカスタマイズができる
Experience BuilderはExperience Cloudの画面を簡単に開発できる機能です。コーディングの知識なしで、モバイルデバイス用のカスタムサイトを作成できますよ。よりスピーディーに作成したいのであれば、テンプレートを使用しましょう。
Experience Builderで使えるテンプレートは下記の8つです。
テンプレート | 内容 |
カスタマー取引先ポータル | 顧客自身がマイページにアクセスして、情報を更新できる |
Partner Central | パートナー向けにリード共有、商談登録、マーケティングキャンペーン設定ができる |
カスタマーサービス | ユーザー同士のコミュニティの作成、質問の投稿や意見交換、記事の検索や表示、コラボレーション、ケースの作成(カスタマーサポートへの問い合わせ含む)ができる |
ヘルプセンター | 顧客自身が過去の質問などから問題の解決策を見出せる |
Build Your Own(Aura) | 基本ページの提供 |
Build Your Own(LWC) | ピクセル単位でカスタマイズ可能なページの作成 |
Aloha | アプリケーションの検索・使用 |
上記のテンプレートに加えて、AppExchangeで提供されているアプリやCSSによるカスタマイズも可能です。カスタマイズの選択肢が豊富にあるため、必ず自社に適したサイトを作成できるでしょう。
メリット③Salesforceナレッジと連携して様々な公開設定ができる
SalesforceナレッジはService Cloud内の機能で、いわゆる「FAQサイト」です。カスタマーサポートにあった過去の問い合わせや、サービス・製品に関する知識を蓄積し、検索可能にしたものです。
SalesforceナレッジとExperience Cloudを連携させると、ナレッジ記事ごとに範囲を指定・限定して公開できます。つまり、顧客の中でも特別な契約をしている方のみ閲覧できるようにしたり、代理店の担当者向けのみの公開に設定したりできるというわけです。
Experience Cloud(エクスペリエンスクラウド)のエディションとは?
Experience Cloudは、顧客向けとパートナー向けのエディションのものが1種類ずつあります。それぞれの価格や用途について、表で紹介します。
エディション名 | Self-Service | Partner Relationship Management |
対象 | 顧客 | パートナー |
価格 | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
用途 | ・顧客同士の情報交換 ・問い合わせ数の削減 ・顧客の評価 ・レビューの投稿 ・改善策の提案 | ・迅速な情報の共有 ・トレーニングの実施 ・社内外の営業のリアルタイム連携 ・営業成績の向上 |
どちらのエディションも基本価格が決まっていますが、公開されていません。価格についてはSalesforce公式サイトからお問い合わせください。利用するユーザー数やニーズに応じて、機能の追加・削除も可能です。
Experience Cloudのログイン消費について
社内のみでSalesforceを利用している場合、何度ログインしても月あたりの料金は変わりません。しかし、Experience Cloudでは別にログイン消費の単位が決められています。
Experience Cloudのログイン消費の単位はライセンスによって異なります。ライセンスは2つあり、「メンバーベースライセンス」か「ログインベースライセンス」のいずれかです。それぞれのライセンスについて表で紹介します。
ライセンスの種類 | メンバーベース | ログインベース |
ライセンスの内容 | 特定の外部ユーザーに割り当てられる | 特定のユーザーに関連付けられる |
費用 | ユーザー数によって決まる | 先に月あたりに使用するログイン数を購入 (追加購入も可能) |
特徴 | 同じユーザーが月に何度ログインしても費用が変わらない | ログインするたびに購入したログイン数が消費される |
メンバーベースライセンスの場合は、社内でSalesforceを利用する際の料金体系とさほど変わりはありません。
ログインベースライセンスの場合、1ユーザーの1日あたりのログイン回数を1回とカウントします。24時間以内であれば何度ログインしても1回のログイン消費で済むということです。
どちらのライセンスが良いかは、事業内容や提供する製品・サービス、Experience Cloudの使用目的によって異なります。ただし、ユーザー数が多く、ログイン頻度が低い場合や、頻繁に利用するユーザーが少ない場合はログインベースを選ぶのが一般的です。
ライセンスごとの価格やログイン数の追加購入費用については、Salesforce公式サイトからお問い合わせください。
Experience Cloud(エクスペリエンスクラウド)にもっと詳しくなるには?
Experience Cloudについてより詳しく学びたい方は、『【Salesforce公式】認定 Experience Cloud コンサルタント 対策』というTrailmixを活用しましょう。Trailmixは、Salesforceが提供するカスタムカリキュラムの作成・共有ツールです。
『【Salesforce公式】認定 Experience Cloud コンサルタント 対策』は試験対策用にまとめられており、基本からしっかりExperience Cloudについて体系的に学べますよ。
Experience Cloud(エクスペリエンスクラウド)を利用して一歩進んだ効率化を図ろう
社内の情報共有の簡便化や営業効率化のためのツールとして有名になったSalesforce。しかし、社外の顧客やパートナーと情報共有するための機能も兼ね備えているのです。
Experience Cloudを活用すると、カスタマーサポートの負担やコスト削減、社外パートナーと連携したよりよい営業プロセスの構築などが達成できます。また、カスタマイズの選択肢も豊富で、自社に合ったモバイルサイトの作成もコーディングの知識なしで可能。売上貢献にも一役買ってくれるでしょう。
QUANZ(クオンツ)は、Experience Cloudを含むSalesforceの導入を支援するSalesforce認定パートナー企業です。Experience Cloudの機能やエディション、ライセンスなどのご相談も受け付けております。顧客や外部パートナーとのより良い関係を築きたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。