主に営業活動の効率化を目的として導入されるビジネス向けクラウドサービス、「Salesforce(セールスフォース)」。CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)として知られており、社内で顧客情報を簡単に共有できます。大手企業だけでなく、中小企業も続々と導入しています。
しかし、一方で「Salesforceは使いづらそう」「どのように使えばいいのか分からない」という声も多くあるようです。そこで、本記事ではSalesforceの主な機能や基本的な使い方、実際の活用事例まで詳しく紹介します。Salesforceを上手く使いこなすためのポイントも併せてお伝えします。
Salesforce(セールスフォース)のベースの考え方、導入目的、主な使われ方
Salesforceはビジネス向けクラウドサービスですが、導入直後にすぐ目に見える成果を出せるツールではありません。というのも、Salesforceを活用するうえで中核を担うのが、今までに企業が集めた顧客のデータだからです。Salesforceを導入しても、顧客データが充分でないと、期待した成果は得られません。
多くの企業でのSalesforceの導入目的は、営業活動の効率化です。顧客情報を社内で簡単に共有や集めたデータの分析、営業プロセスの改善など、使用用途はさまざまです。
ここでは、Salesforceの中核を担う顧客情報の中でも、おさえておきたい基礎的な部分を解説します。
Salesforceにはじめに格納するべきデータは、「リード」と呼ばれる見込み客の情報です。見込み客の会社名や氏名など、さまざまな情報を1つのレコードとして入力・管理します。Excelで例えると、「見込み客リスト」シートがリード、1行の顧客情報がレコードにあたります。
リードのなかで、商談が生じた顧客は「取引先責任者」に昇格させます。」取引先責任者が所属する企業は「取引先」という別のボックスで管理します。取引先1社の中に複数人の取引先責任者を登録できるため、担当者の引継ぎもスムーズです。また、「商談」という別の箱で商談を管理しますが、こちらは取引先や取引先責任者のデータと紐づけられるようになっています。
このように、Salesforce上では個人・企業・商談単位で情報を管理し、お互いに結び付けて管理できるため、情報が錯綜することがありません。また、これらのデータを整理することで、下記の3つのSalesforceの基本的な使い方ができるようになります。
- 顧客情報の管理
- 案件の管理
- 数字の可視化(売上予想など)
1つずつ具体的に紹介します。
①顧客情報の管理
Salesforce上で「取引先」「取引先責任者」という機能にあたる部分です。
顧客に関する情報(メールや酸化したイベント、問い合わせ履歴など)や、顧客や取引先の企業に関する自社での活動履歴やディスカッションの記録などを都度入力することで、誰もが簡単に把握できるようになります。
また、MA(マーケティング・オートメーション)と組み合わせて、自社のWebサイトでの顧客の行動や興味を詳しく分析することも可能です。商談の見込みの有無やターゲットになりうるかなどの判断材料にできます。
②案件の管理
Salesforceで「レポート」「ダッシュボード」と呼ばれる機能です。
現在の案件の進捗情報をはじめ、過去の取引金額、競合相手など、案件に関わる重要な情報を管理できます。
商品管理の場合は、数量・標準価格・見積価格・商品コードの管理も可能。売上金額や数量のリストを作成して、支払期日や商品の引き渡し期日などを紐づけることもできます。見積もりに関する顧客情報を自動入力できる見積機能も便利ですよ。
③数字の可視化(売上予想など)
②と重複しますが、Salesforceで「レポート」「ダッシュボード」と呼ばれる機能です。案件の進捗同様、ビジネスの状況をリアルタイムかつ一瞬で把握できます。
誰でも簡単に作成できるレポートを活用して、データの精査や売上管理・予測にも反映可能。部署や社内会議用の資料を別途作成する手間も省けます。
Salesforce(セールスフォース)の主な機能
年3回アップデートをするSalesforce。アップデートのたびに機能が追加されていきますが、基本的な使い方は変わりません。
ここでは、先ほど紹介した3つの基本的な使い方以外の代表的な機能を紹介します。
機能名 | 内容 |
キャンペーン | ・イベント情報の管理 ・顧客情報との紐づけ ・効果分析 ・個別のマーケティング施策の実行 |
Todo | ・商談データなどに基づいたタスク登録(「いつ・誰が・何をするか」) ・期限が迫ったときのアラート ・完了タスク含むタスク履歴の閲覧 |
ケース | ・既存顧客などからの問い合わせ内容の保存 |
カスタムオブジェクト | ・用途に応じた自由なデータベースの作成 |
フォーム | ・顧客からの問い合わせをWEB上で受け付ける機能 ・アンケートの実施・結果の取得 |
レポート | ・顧客情報の可視化 ・商談の進捗状況などの可視化 |
メール | ・Salesforceに登録された顧客に対しての一斉メール配信 ・メールマーケティング ・メールキャンペーンの実施 |
Salesforceの使い方の例(マーケティング・営業・カスタマーサポート)
ここからは、担当業務ごとのSalesforceの
使い方の例を詳しく紹介します。今回紹介するのは、下記の業務でのSalesforceの使用方法です。
- マーケティング
- 営業
- カスタマーサポート
それぞれ見ていきましょう。
マーケティング
Salesforceの機能の中には、マーケティングを自動化できるものもあります。メールやWeb広告の自動配信や、顧客情報による個別のコンテンツ表示、レポート作成などです。マーケティングの自動化は業務の効率化だけでなく、効果測定や売上予測にも役立ちます。
ここでは、「リード獲得(顧客情報の蓄積)」→「ナーチャリング(見込み客との関係構築)」→「スコアリング(見込み客の点数化)」の一連の流れを表で説明します。
リード獲得
1.施策検討 | ・見込み客の情報を集めるための企画・戦略立案 |
2.リード獲得 | ・集客施策の実行 ・WEBの場合は営業担当への通知の自動化も可能 |
3.Salesforceへの登録 | ・集めた顧客情報をSalesforceのリードとして ・登録キャンペーンとの紐づけ登録も可能 |
ナーチャリング
1.施策検討 | ・目的/ターゲットの明確化 ・手段や方向性の具体化 |
2.コンテンツ制作 | ・実際に配信するコンテンツの作成 |
3.コンテンツ配信 | ・Salesforce上の顧客データに対してコンテンツ配信 ・メールの場合は一斉配信・効果測定可能 |
スコアリング
1.ルール設定 | ・リードのどの行動に対してどのスコアを何点プラスするかを検討/設定 |
2.可視化 | ・レポート機能でリードを点数順に可視化/リスト化 |
3.活用 | ・営業担当への共有 ・特定のスコアのリードに対して更なる働きかけ |
営業
CRMやSFAシステムがあることから、Salesforceは営業活動の効率化ツールとして有名です。営業の業務において、Salesforceはどのように使われているのでしょうか。
Salesforceでは社内での情報共有が簡単にできることから、従来営業担当が個人個人で持っていた案件や顧客アプローチのノウハウを共有し、より良い営業活動につなげることができます。また、営業の責任者は、全体の進捗状況や売上推移などを簡単に把握できます。顧客データをあらゆる角度でソートし、新たな営業リストを作ることも可能です。
ここでは、Salesforceを用いた営業活動の一連の流れを紹介します。
営業リストの作成
1.ターゲット選定 | ・レポート機能から営業リストを生成 ・特定の切り口でリスト抽出が可能 |
2.スコアリング | ・ソートして営業リストを見やすくする |
3.共有 | ・他の営業担当者とリストを共有 |
活動記録
1.予定 | ・Todoで商談日時やタスクを登録 |
2.記録 | ・実際の商談内容をTodoに記録 ・リードを取引先責任者に昇格させる |
3.案件確認 | ・他の担当者の案件進捗状況の確認 ・似たような案件の過去の記録の確認 |
進捗管理
1.レポート作成 | ・営業担当者ごとの案件状況の可視化 ・案件全体の動きの把握 ・売上予測 |
2.データ活用 | ・営業全体の方向性の確認 ・営業担当者単位のアクションの確認/共有 |
カスタマーサポート
実際に顧客と接する機会の多い、カスタマーサポートの業務でもSalesforceは有用です。Salesforce上に登録された顧客情報を参照して対応ができるため、業務の効率化や顧客満足度アップがkチア位できます。
では、カスタマーサポート業務でのSalesforceの使い方を見てみましょう。
ケース登録
1.問い合わせ窓口の設定 | ・電話/メール/WEBなどで問い合わせ窓口を設置 |
2.Salesforceへの登録 | ・電話やメール窓口の場合はケースに登録 ・WEBの場合は自動登録可能 |
活動記録
1.問い合わせ対応 | ・ケースを検索/参照してカスタマー対応 |
2.記録 | ・実際の問い合わせ内容/対応をもとにケースの情報を更新 |
3.活用 | ・ナレッジの蓄積 ・対応漏れの有無の確認 ・進捗管理 |
満足度調査
1.アンケート | ・アンケートの実施 |
2.Salesforceへの登録 | ・アンケートの回答内容をカスタムオブジェクトに登録・リードや取引先責任者に紐づけ ・WEBアンケートの場合は自動で登録も可能 |
3.データ活用 | ・全体の傾向をレポートで分析 ・顧客に対して個別にアプローチ |
Salesforce(セールスフォース)を上手く使うためのポイント
Salesforceを上手に活用するためにおさえておきたいポイント2つを紹介します。
- Salesforceを時間や場所にとらわれずに使えるようにする
- Salesforceへのデータ入力を簡単にする
この2つがどうして大切なのか、理由も含めて解説します。
Salesforceを時間や場所にとらわれずに使えるようにする
Salesforceはビジネス向けのクラウドサービスです。クラウドサービスの「インターネット環境下であれば、いつでもどこでも使える」というメリットを活かさない手はありません。
とくに、最近では自宅やコワーキングスペースなどでのリモートワークが推奨されています。また、Salesforceが最も成果を発揮する営業においては、営業担当者が社外からデータを確認する場面も多いでしょう。
Salesforceを活用して成果を上げるためには、いつでもどこでもリアルタイムなデータを確認する必要があります。そのためには、社内でSalesforceへの登録方法の一律化などの運用ルールの設定や、社用パソコンや社用スマートフォンの支給が求められます。Salesforceでリモートワークを快適にすると、生産性の向上だけでなく、社員の離職率の低下にもつながるでしょう。
Salesforceへのデータ入力を簡単にする
Salesforceが定着に失敗した企業のなかには、一度に多くの機能を導入してしまったというケースがあります。既存のシステムからSalesforceへの変更には、運用担当者だけでなく、現場の社員の協力も必要です。慣れないシステムに大量のデータを入力しなければならなくなると、現場の社員の業務の負担が増加してしまいます。
まずは最低限の機能を導入し、必要に応じて機能を増やしていきましょう。データ入力のハードルを下げ、リアルタイムで情報がどんどん更新されるように社員をトレーニングすることが大切です。
Salesforceと連携した名刺管理システムを活用すると、営業担当者のリード入力の業務を軽減することもできます。現場の社員が使い続けられるよう、そしてSalesforceが企業に定着して効果を十分発揮できるよう、導入時は慎重な判断が求められます。
QUANZでは、数多の企業に対してSalesforceの導入のサポートをしてきました。蓄積したノウハウから、御社に合ったSalesforceの機能の選定をお手伝いします。また、運用担当者の負荷軽減のため、既存システムからのデータ移行、社員トレーニングまで承ります。
Salesforce(セールスフォース)の基本的な機能をおさえて活用しよう
Salesforceにはさまざまな便利な機能があります。しかし、Salesforceを使う目的を明確にしないまま、機能を一度にたくさん導入してしまうのはナンセンスです。
まずはSalesforceの基本的な使い方をおさえ、現場の社員にまで定着させましょう。Salesforceが定着した暁には、営業の効率化や顧客満足度アップなどの成果が出始めているかもしれません。
QUANZ(クオンツ)では、豊富な実績を活かし、Salesforceの導入をワンストップでサポートしています。Salesforceの導入に関してお悩みのことや、不安なことがありましたら、お気軽にご相談ください。