さまざまな企業が業務効率化のために導入しているSFA(営業支援)/CRM(顧客管理)システム。しかしさまざまなシステムがあるため、どれを導入したらよいか迷っている企業担当者の方も多いでしょう。
本記事では、世界一のシェアを誇るSFA/CRMプラットフォーム、Salesforceについて詳しく解説します。Salesforceの代表的な機能や導入のメリット、他のツールとの違いについて紹介します。SFA/CRMツールの導入をご検討中の方はぜひ参考にしてください。
Salesforce(セールスフォース)について
Salesforceはアメリカで生まれたSFA/CRMツールです。全世界で15万社以上の企業が導入しており、日本国内の企業も続々と導入を決めています。
実はSalesforceは総称で、SFA/CRMツール以外にもさまざまなサービスを提供しています。Sales CloudやMarketing CloudはSalesforceの代表的なSFA/CRMツールですが、その他に情報共有ツールのSlackなどもSalesforceが提供しています。企業に合わせたサービスを組み合わせて利用できるのもSalesforceの魅力のひとつです。
SalesforceのSFA/CRMツールは、今まで企業が蓄積してきた顧客データの貯蔵庫のようなものです。顧客へのアプローチを検討したり、営業活動のプロセスを見直したりするために、顧客のデータを活用します。また、社内での情報共有も簡便化するため、大幅な業務効率アップも狙えます。
そもそもSFA/CRMツールについて分からない方は、下記記事をご覧ください。
『【完全版】セールスフォース(Salesforce)とは?機能や導入のメリット、陥りがちな落とし穴、事例まで徹底網羅』
Salesforce(セールスフォース)の導入メリット
Salesforceを導入して得られるメリットは主に下記の6つです。
- 顧客情報の管理
- 顧客満足度アップ
- 営業活動の効率アップ
- 教育コストの削減
- 他部署・他社とのスムーズな連携
- 即時分析
Salesforceはあらゆる顧客情報を蓄積・記録したデータベースです。顧客情報の管理に特化しているだけでなく、どの顧客がどのようなサービスを求めているかなど、具体的なアプローチの検討に活用できます。トラブルが起きた際も、以前の顧客情報やカスタマーサポートの記録から、迅速にフォローできるでしょう。効率よく顧客満足度のアップが狙えます。
Salesforceは社内での情報共有ツールとしても有能です。属人的だった営業ノウハウを簡単に共有できるため、新人研修に割く時間を短縮できます。また担当者変更などによる引継ぎもスムーズに行えるようになるでしょう。営業部とマーケティング部など、部署同士の連携も円滑にできる他、パートナー会社など社外との情報共有にも役立ちます。
蓄積したデータをもとにリアルタイムの分析も可能。社内における課題解決や営業指針の見直しなどにもSalesforceは活用できます。
Salesforceの全体像や導入後のメリットについて詳しく知りたい方は、下記記事をご覧ください。
『【完全版】セールスフォース(Salesforce)とは?機能や導入のメリット、陥りがちな落とし穴、事例まで徹底網羅』
Salesforce(セールスフォース)を導入することでできること
Salesforceの導入により可能になることを表にまとめました。
機能名 | 内容 |
顧客管理 | 取引先の企業や担当者の情報を一元管理 |
リード(見込み客)管理 | MA(マーケティング・オートメーション)と同期させてナーチャリングしたリードから商談までのフローを可視化 |
商談情報 | ・過去の商談の確認 ・進行中の商談の進捗確認 ・営業分析への活用 |
承認とワークフロー | ・見積承認 ・経費申請 ・勤怠管理 |
商品管理 | ・商品情報や価格表などの管理 |
契約管理 | ・販売契約やサービス保守契約の記録 |
・商談との関連付けも可能 | |
Webフォームからの新規問い合わせ管理(Web-to-Lead) | ・問い合わせフォームに入力された情報をリードに直接登録 ・問い合わせ対応の効率化 |
売上予測 | ・リアルタイムで売上予測や売り上げ目標の達成度を可視化 |
問い合わせ管理 | ・顧客からの問い合わせ情報を登録 ・担当オペレーターの割当 ・問題解決までのプロセスの管理 |
ナレッジマネージメント | ・過去の問い合わせと回答や社内のナレッジを共有するデータベースを作成可能 ・カスタマーサポートの業務効率化 |
Web・Eメールからの問い合わせ受付(Web-to-Case, Email-to-Case) | ・Webサイトからの問い合わせをケースとして登録 ・Eメールからの問い合わせをケースとして登録 |
CTIインテグレーション | ・各種CTI(Computer Telephony Integration;コンピューター電話統合)システムと連携 ・電話対応しながらService Cloudの活用が可能 |
Salesforce(セールスフォース)の代表的なサービスの特徴と費用
Salesforceの代表的な3つのサービスの特徴と費用について紹介します。
- Sales Cloud
- Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)
- Service Cloud
- Marketing Cloud
1つずつ詳しく見ていきましょう。
①Sales Cloud
Salesforceといえば、Sales Cloudを思い浮かべる方も多いでしょう。Sales CloudはSalesforceの代表的なCRMツールとSFAツールをパッケージにしたプロダクトです。顧客情報の管理と営業の効率化を見込めます。
Sales Cloudには、Web広告のクリックから成約に至るまでの過程を追跡できる機能もあります。リードの開拓や囲い込みにも活用できるでしょう。リアルタイムでの売上予測や分析、その結果の共有も可能。営業活動のレポートなどの情報共有も簡単にできます。
TwitterやFacebookなどのSNSと紐づけて、顧客調査や新規開拓の選択肢の拡大も可能。社内用SNSツール「Chatter」で紐づけたSNSから得られた情報を共有できるため、チームや部署ごとだけでなく、社内全体で業務効率化に取り組めるでしょう。
Sales Cloudの費用は下記のとおりです。
ライセンス名 | ライセンスの内容 | 月額費用 |
Essentials | ユーザー数10名までのシンプルなCRM | 3,000円 |
Professional | あらゆる規模のチームに対応する包括的なCRM | 9,000円 |
Enterprise | 自社に合わせた細かいカスタマイズができるCRM | 18,000円 |
Unlimited | CRM機能とサポートを無制限で使用可能 | 36,000円 |
②Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)
Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)はMA(マーケティングオートメーション)ツールで、見込み客の獲得・育成をして効率的で効果的な営業活動をサポートします。具体的に言うと、Webサイトから有望なリードを見つけ出し、継続的に営業へ情報提供することが可能です。
Marketing Cloud Account EngagementをSalesforceの他のサービスと連携させて使うと、リードの関心に基づいたコンテンツを適切なタイミングで配信してトラッキング(顧客行動の追跡)を行い、ナーチャリング(育成)とスコアリング(評価)でリードの引き合いを効率的に生み出せます。他にもリードの自動割当や動向追跡、リアルタイムの通知などの機能を備えているため、営業担当者は最も効果的なタイミングでリードへのフォローアップが可能になります。
Marketing Cloud Account Engagementの費用は下記のとおりです。
ライセンス名 | ライセンスの内容 | 月額費用 |
Growth | ・マーケティングオートメーション(MA) ・取引先責任者数10,000名まで | 150,000円 |
Plus | ・マーケティングオートメーション(MA) ・アナリティクス ・取引先責任者数10,000名まで | 300,000円 |
Advanced | ・高度なマーケティングオートメーション(MA) ・アナリティクス ・取引先責任者数10,000名まで | 480,000円 |
Premium | ・高度なマーケティングオートメーション(MA) ・アナリティクス ・予測分析ツール ・サポート ・取引先責任者数75,000名まで (※Enterprise向けエディション) | 1,800,000円 |
PardotはProfessional以上のエディションのみ対応しています。Essentialsでは使えないため注意しましょう。
③Service Cloud
Service Cloudはカスタマーサポートの業務効率化を図るツールです。一画面で顧客情報や問い合わせ内容を管理できるだけでなく、今までにあった問い合わせ内容や知識データベースを構築する「ナレッジマネージメント」という機能が搭載されています。
ナレッジマネージメントにより、その企業が提供している商材やサービス専用の問題解決コミュニティが公開できます。カスタマーサポートへ連絡せずとも、必要な情報を顧客自身が見つけて問題解決できる仕組みになっているため、カスタマーサポートの業務の負担を軽減できるでしょう。
Service Cloudの専用プラットフォームでは、カスタマーサポートに関する作業を一元管理できます。コールセンターのオペレーターにあった問い合わせ内容と対応履歴は過去のデータと自動で紐づけられ、ナレッジとして蓄積されます。
Service Cloudの費用は下記のとおりです。
ライセンス名 | ライセンスの内容 | 月額費用 |
Essentials | ユーザー数10名までのシンプルなCRM | 3,000円 |
Professional | あらゆる規模のチームに対応する包括的なCRM | 9,000円 |
Enterprise | 自社に合わせた細かいカスタマイズができるCRM | 18,000円 |
Unlimited | CRM機能とサポートを無制限で使用可能 | 36,000円 |
④Marketing Cloud
Marketing Cloudは顧客ひとりひとりに合わせたマーケティング「One to One マーケティング」を展開できるツールです。とくにメールマーケティングに長けており、一括メール配信機能やキャンペーン管理機能で、顧客それぞれに合わせたコンテンツを配信可能。
メールマーケティングで使用するコンテンツの作成はドラッグ&ドロップでできるため、操作性が高いのも特徴のひとつです。顧客の行動分析・トラッキングを行ったうえで、適切なタイミングで配信ができるのも大きなポイントです。
Marketing Cloud Customer Data Platformが含まれるCustomer 360 Audiencesの価格は下記のとおりです。
ライセンス名 | ライセンスの内容 | 月額費用 |
Corporate | ・データの統合/拡大ツール※中規模企業向け | 1,500,000円 |
Enterprise | ・全データの統合/セグメント化/有効化※大規模組織向け | 6,000,000円 |
Enterprise Plus | ・全データの統合/セグメント化/有効化 ・プレミアサポート※Enterpriseエディション向け | 7,800,000円 |
Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)は前述したとおりですが、その他のMarketing Cloud Engagement、Marketing Cloud Advertising、Marketing Cloud Intelligence、Googleマーケティングプラットホーム、Marketing Cloud Personalizationについては個別見積が必要です。Salesforce公式サイトよりお問い合わせください。
その他のサービスや料金形態について詳しく知りたい方は、下記記事をご覧ください。
『Salesforce料金解説記事』
Salesforce(セールスフォース)のその他サービス
導入されることの多いSalesforceのサービスの名称や内容、費用について表で紹介します。
サービス名 | 内容 | 月額費用 |
Commerce Cloud | ・ショッピングサイトの構築/運営管理 ・パーソナライズ化された顧客体験の提供 ・CRMとの連携可能 | 要問い合わせ |
Experience Cloud(旧Community Cloud) | ・顧客との情報共有 ・ビジネスパートナー(社外)との情報共有 ・社内での情報共有 | 要問い合わせ |
Salesforce Platform(Lightning Platform) | ・カスタムアプリケーションの開発/実行/運用のすべてをクラウド上で完結できるPaaS | ・Lightning Platform Starter:3,000円・Lightning Platform Plus:12,000円 |
Tableau(旧Einstein Analytics) | ・分析プラットフォーム | ・Tableau Viewer:$15・Tableau Explorer:$42・Tableau Creator:$70 |
Quip | ・メンバー間でドキュメント/スプレッドシート/スライドをリアルタイムに作成や編集、共有できるオンラインプラットフォーム | ・Quip Advanced:12,000円 |
Chatter | ・社内の情報共有用SNSツール | Salesforce利用者であれば無料 |
myTrailhead→詳しく知りたい方はこちら | ・オンライン学習プラットフォーム ・スキルの取得・向上 | Sales Enablement:3,000円 |
AppExchange | ・Salesforce用のアドオンやビジネスアプリケーションを購入できるストア | 無料※購入には別途料金がかかります |
MuleSoft Anypoint Platform | ・API連携による統合型プラットフォーム | 要問い合わせ |
Salesforce(セールスフォース)と他のSFA/CRMツールとの違い
最後に、Salesforceと他のSFA/CRMツールの違いを紹介します。
まず確固たる違いはそのシェアの大きさです。Salesforceは15万社以上に導入され、そのシェアは世界一。国内の導入企業も多く、Salesforce認定パートナー企業も増えているため、導入支援が受けやすいメリットがあります。また、連携できる外部ツールも他のSFA/CRMツールよりはるかに多く、利便性が高いといえます。
続いて、その機能の豊富さが挙げられるでしょう。SFA/CRMツールだけでなく、マーケティングやカスタマーサポートなど、さまざまな業務をSalesforce内で一元管理できます。Salesforceのみで完結するため、社内の情報共有もかなり簡便化されるでしょう。
また、Salesforceの魅力として、他のツールにはないカスタマイズ性の高さも挙げられます。企業や商材ごとに異なる営業プロセスや顧客情報を用途に合わせてカスタマイズできます。管理画面などは使いやすいよう、ユーザーごとにレイアウトの変更が可能です。
最後に、セキュリティや安全性の高さです。Salesforceはアメリカ連邦政府のリスク・認証管理プログラム「FedRAMP」の基準に対応しており、データのプライバシーこそが何よりも重要としています。Salesforceはアメリカ連邦政府や州政府、地方自治体機関での使用向けにGovernment Cloudを提供しています。アメリカの防総省(DoD)や連邦政府出資研究開発センター(FFRDCs)などもGovernment Cloudを使用していることから、そのセキュリティの信頼度の高さがうかがえるでしょう。
Salesforce(セールスフォース)の機能を活用して社内全体を効率化しよう
SalesforceはSFA/CRMツールだけでなく、マーケティングやカスタマーサポートの業務を効率化できるサービスも提供しています。Salesforceを導入すると、社内全体の情報共有がスムーズになり、部署間の連携も強まるでしょう。社内全体で業務効率化が進み、業績アップが見込めます!
QUANZ(クオンツ)はSalesforce認定パートナー企業であり、Salesforceの導入をサポートしています。御社に合ったSalesforceの機能のご提案から、既存データの移行、カスタマイズなど、熟練したエンジニアが導入をしっかり支援します。Salesforceについての疑問や不明点がありましたら、お気軽にご相談ください。